
1.メルマガのABテストとは?
メルマガのABテストとは、メールマガジンの内容や要素を少しだけ変えた2つのバージョンを配信して、それぞれの効果を比較する手法です。たとえば、件名やタイトルを変えたメールを配信し、どちらがより多く開封されるのかを調べることができます。
1-1. メルマガのABテストを行うメリット
メルマガのABテストを行うことで、購読者の反応を分析し、メールマーケティング運用において重要となる以下のようなポイントを明らかにできます。購読者の反応を数値的に可視化できるため、客観的な視点から分析・改善していくことが可能になります。
購読者の行動パターン分析
開封やクリックなどの具体的なアクションがいつ、どのような状況で起きやすいのかを定量的に把握することができます。検証を重ねていくことで、自社顧客に合った運用方法に最適化していくことができるでしょう。コンテンツの改善ポイント発見
どのような内容や表現が購読者の興味を引くのか、また逆にどのような要素が効果を低下させているのか、その傾向を捉えることができます。これによって、より自社顧客に刺さるような魅力的なコンテンツ作りにつながります。
1-2. テストで比べる要素の種類
では実際にどんな内容でABテストを行うのか。一例となりますが比べる要素には、以下のようなものがあります。
件名
絵文字の有無、文字数の長短、文末の「?」の使用など、細かな違いからABテストを実施できます。件名は開封率に直結する重要な要素で、わずかな変更で大きな効果の違いが現れることがあります。たとえば、「春の新商品のご案内」vs「春の新商品をいち早くチェック!」といった比較から、どちらの表現が開封意欲を高めるのかが分かります。本文とデザイン
CTA(行動喚起)のボタン文言(「登録してみる」vs「登録はこちらから」)やボタンの色、レイアウト構成の違いからABテストが実施できます。これにより、購読者の行動を最も効果的に促せる現行の傾向を見つけ出すことができます。また、文章の長さや口調の違いによる影響も検証ポイントです。ビジュアル要素
画像の有無、サイズ、配置などの視覚的要素をテストすることで、クリック率や滞在時間にどのような影響があるのかを確認できます。商品画像や図表の使い方の最適化にもつながります。配信タイミング
曜日や時間帯を変更することで、購読者が最も反応しやすいタイミングを特定できます。特にBtoBとBtoCでは最適な配信タイミングが大きく異なることがあるため、ターゲット層に合わせた検証が重要です。
2.メルマガのABテストの進め方
メルマガのABテストを行う前にいくつかのステップを確認しておきましょう。
2-1. まずはテストの目的を明確にしよう
メルマガのABテストをはじめる前に、まずは何のためにテストを行うのかをはっきりさせましょう。「開封率を上げたい」「クリック率をあげたい」「商品の購入につなげたい」など、具体的な目標を決めることで、テストで比べる項目も明確になります。
目標は達成可能な範囲にとどめることが大切です。「開封率を5%向上させる」「ランキングのクリック数を2倍にする」など、具体的な数値で設定しましょう。
2-2. 仮説を立てよう
目的を達成するためには、テストを行う前に仮説をしっかりと立てることが重要です。例えば、「クリック率を上げたい」と思った場合、「ファーストビューにCTAボタンがあるほうがクリックしてもらえるはず!」といった具体的な仮説を立て、テストを行います。仮説が明確であれば、結果を分析した際に、何が効果的だったのかがよりわかりやすくなり、次の施策に活かすことができます。
2-3. ABテストを実施しよう
~メルマガのABテストもできるMAツール「EC Intelligence」~
ABテストを実施するには、基本的にメルマガ配信ツールやMAツールがあれば十分です。
ここでおすすめなのが、EC特化型のオールインワンMAツール「EC Intelligence」です。「EC Intelligence」では、テスト対象のメールを作成し、配信リストを設定するだけで簡単にメルマガのABテストを実施できます。例えば、「開封率」「訪問数」「注文件数」「コンバージョン数」といった指標を基に、どのコンテンツが最も効果的かを詳細に分析できます。さらに、テスト結果はレポートとして参照でき、次の施策の改善に役立ちます。
2-4.結果を振り返って次回につなげよう
テスト結果を分析し、仮説が正しかったかを検証します。具体的なデータを基に、どのバリエーションが最も効果的だったかを分析しましょう。その結果をもとに、次回以降のメルマガ改善に活用します。
また、目標に届かなかった場合の対応策をあらかじめ考えておくと、次のテストにつなげやすくなります。失敗を恐れずに異なる方法をさまざま試し、PDCAサイクルを回し続けることが成功の鍵です。
3.メルマガのABテストを実施する際の注意点
3-1.比較する要素は1つに絞ること
たとえば上記の例でせっかくクリック率が伸びたとしても、「CTA文言の変更による効果なのか。それとも画像のサイズやレイアウトを変更したことによる効果なのか。」どちらによる成果なのかがわからなくなってしまいます。
ですので、ABテストを行う際は必ず比較要素を一つに絞りましょう。
3-2.一回の結果や短すぎる検証期間で判断しないこと
1回だけのテストで判断するのは尚早です。その1回でたまたま良い結果や、偏った結果が出ただけかもしれません。最低でも3回程度は同じテストを繰り返し、安定した結果が出るか確認しましょう。
4.メルマガのABテストで確認すべき指標
- 開封率
メルマガの「開封率」はメールを読んでもらえたかどうかを表す大切な指標です。一般的に20%以上あれば良好とされていますが、業界によって基準は大きく異なるため、業界の指標を一度調べて把握しておきましょう。
ただし、注意すべきポイントがあります。
Apple社によって2021年9月21日にリリースされたiOS 15以降、iPhoneの標準メールアプリにおいてユーザーがトラッキングを防止できる設定『メールプライバシー保護機能』が追加されました。これにより、iPhoneの標準メールアプリでメールプライバシー保護がオンになっているユーザーは実際にはメールを開封していない場合でも、開封とみなされてしまうことがあります。
その結果、開封率が実際よりも高く記録される場合があり、正確な開封率を測定することが難しくなります。開封率だけではなくクリック率やコンバージョン率を重視して、実際の読者の反応を確認することが重要です。
参考:Apple-メールプライバシー保護 - クリック率
メール本文内のリンクをクリックした人の割合を示します。商品ページやブログへの誘導が目的の場合は、この指標が特に重要です。「開封率は高いのにクリック率が伸びない…」という場合は、本文の内容を改善していく必要があります。 - コンバージョン率
メルマガの最終的な目的(商品購入、問い合わせ、会員登録など)に対する達成率を示します。クリックした読者のうち、どのくらいが目的の行動を取ったかを確認することで、メルマガが効果的だったかを評価できます。 - 配信停止率
メルマガの内容が読者の期待に合っているかを示す指標の一つです。ABテストを行う際に、どちらのパターンが読者に好まれているかを判断するために確認することができます。配信停止率が高い場合は、内容や送信頻度を見直す必要があるでしょう。
なお各指標の分母は配信数としましょう。
そうすることで、Aパターン・Bパターンともに同じ条件での比較が出来るようになります。
5メルマガのABテストの次のステップ
5-1. テスト結果の活かし方
メルマガのABテストで得られた結果は、次のメール配信にすぐに活かすことができます。効果が高かった件名や文章の傾向を見て、新しいメルマガを作っていきましょう。
また、テスト結果は、メルマガ以外の販促にも応用できます。
たとえば、SNSの投稿文やWebサイトの商品説明文にも、効果的だった表現を取り入れることができます。お客様の反応が良かったフレーズは、ほかの場面でも効果が発揮されることが期待できます。
5-2. 定期的なテスト計画の立て方
定期的なテスト計画も立てておきましょう。月に1回など、決まったペースでテストを行うことで、お客様の好みの変化にも気づきやすくなります。季節や時期によって効果的な表現は変わるので、過去のテスト結果を鵜呑みにせず、常に新しい発見を探していくことが大切です。
まとめ
メルマガABテストは、メールマーケティングをより良く運用するための重要な手法です。件名や本文の工夫、配信タイミングの調整など、さまざまな要素を検証することで、購読者の反応をデータで把握し、効果的な改善が可能となります。
このテストを実施する最大のメリットは、購読者の行動パターンや興味を定量的に分析できる点です。細かい変更が大きな成果につながることもあり、積極的に試す価値があります。
復習にはなりますが、メルマガのABテストを行う際には以下を意識しましょう。
- 比較する要素は1つに絞ること。
- 一度の結果で判断せず、安定したデータを得ること。
- 明確な目標と仮説を設定し、検証に臨む。そして結果を振り返り、次につなげるためのPDCAサイクルを回していくこと。
結果を分析し、効果的な方法を特定したら、それを次回のメルマガ配信に取り入れるだけでなく、SNSやWebサイトなど他の販促活動にも応用できます。また、定期的なテストを継続することで、購読者の変化するニーズに対応し、マーケティング全体の質を高めることが可能です。
メルマガのABテストは、一度始めれば比較的簡単に継続できます。本記事で紹介した基本を押さえながら、自社の状況に合わせてカスタマイズしていくことで、より効果的なメールマーケティングを実現できるでしょう。
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