オンラインショッピングの普及により、多くの企業がECサイトを立ち上げていますが、売上に悩む声も少なくありません。
そこで本記事では、ECマーケティングの特徴や基本戦略、具体的な施策について、初心者にも分かりやすく解説します。これからECサイトを運営される方や、ECサイトの売上アップを目指したい方は、ぜひ参考にしてください。
ECマーケティングとは
ECマーケティングとは、オンラインでの商品やサービスの販売を促進するためのマーケティング活動を指します。以下では、ECマーケティングと従来のマーケティングの違いや、ECマーケティングの特徴について詳しくみていきましょう。
ECマーケティングとマーケティングの違い
ECマーケティングと従来のマーケティングには、いくつかの違いがあります。以下は、ECマーケティングならではの特性です。
- ターゲット層へのアプローチ方法:デジタル広告やSEO、SNSなどのオンラインチャネルを主に活用し、ユーザーの行動データをもとにしたターゲティングが可能
- 販売プロセス:Webサイト上での商品紹介や購入フローの最適化が重要となり、ユーザーの行動分析やA/Bテストなどを通じて、継続的な改善が行われる
- 顧客対応:オンラインチャットやメールなど、デジタルツールを活用した対応が中心
従来のマーケティングと比べ、ECマーケティングではデータ分析の重要性が格段に高くなっています。Webサイトのアクセス解析やユーザーの購買行動データなど、詳細な情報を収集・分析し、マーケティング戦略に反映させることが成功の鍵です。
ECマーケティングの特徴
ECマーケティングの主な特徴は、以下のとおりです。
- オンライン上で接客・販売が完結する
- 24時間365日、時間や場所を問わず販売できる
- 商圏を世界中に広げられる可能性がある
- 顧客の行動データを詳細に収集・分析できる
- 実店舗と比べて比較的低コストで運営できる
- 多様な広告手法やSEOなどの集客施策を活用できる
- A/Bテストなどによる継続的な改善が行いやすい
これらの特徴を活かし、ECサイトの売上拡大や顧客満足度の向上を図ることがECマーケティングの目的です。
ECマーケティングの基本戦略
ECマーケティングにおいては、集客施策、CVR改善施策、リピーター獲得施策、データ分析・改善を効果的に実施することが基本戦略となります。
目的 | 主な施策 | 期待できる効果 | |
集客施策 | 新規顧客の獲得 |
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CVR改善施策 | 購買率の向上 |
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リピーター獲得施策 | 既存顧客の維持・育成 |
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データ分析・改善 | 施策の効果測定と最適化 |
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集客施策で獲得した新規顧客に対し、CVR改善施策を通じて購買を促進し、その後リピーター獲得施策でロイヤルカスタマーへと育成。そして、これらのプロセスをデータ分析に基づいて継続的に改善していく、というECサイトの成長サイクルを確立できれば、新規顧客の獲得から既存顧客の維持までを安定して行えるでしょう。
ECマーケティングでは、これらの施策をバランス良く実施することが重要です。
ECマーケティングで実施すべき施策
ECマーケティングを成功させるためには、さまざまな施策を効果的に組み合わせて実施することが重要と解説しました。
そこでこの章では、集客施策、CVR改善施策、リピーター獲得施策、データ分析・改善のそれぞれにおいて核となる施策を解説します。
集客施策
集客施策は、ECサイトに多くの潜在顧客を呼び込むために必要な施策です。ここでは、主要な集客施策であるSEO、コンテンツマーケティング、Web広告について詳しく説明します。
SEO
SEO(検索エンジン最適化)は、検索エンジンの検索結果ページでより上位に表示されるようにWebサイトを最適化する施策です。SEOを適切に行うことで、オーガニック検索からの流入を増やし、持続的な集客を実現できます。
SEOの基本的な施策には以下のようなものがあります。
- ターゲットキーワードの選定と最適化
- タイトルタグの適切な設定
- メタディスクリプションの最適化
- 検索意図に合ったコンテンツ作成
- 内部リンクの設置
- 外部リンクの獲得
SEOは即効性のある施策ではありませんが、長期的に見て非常に効果的な集客方法となります。
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングは、価値のあるコンテンツを作成・配信することで、潜在顧客の関心を引き、信頼関係を構築する施策です。単なる商品紹介だけでなく、顧客の課題解決に役立つ情報を提供することで、ブランド価値を高め、長期的な顧客獲得につながります。
効果的なコンテンツマーケティングの例として以下のようなものがあります。
- 記事コンテンツ(ブログ記事、ハウツー記事、業界情報・トレンド記事など)
- 動画コンテンツ(商品紹介動画、使用方法の解説動画など)
- メールマーケティング(メールマガジン配信、ターゲットセグメント別メール配信など)
- ホワイトペーパー(調査レポート、業界動向分析、事例集など)
- SNS運用(企業アカウントでの定期投稿、インフルエンサーとのコラボ投稿など)
- オンラインイベント(ウェビナー、オンラインセミナーなど)
コンテンツマーケティングは、SEOとの相乗効果も期待でき、長期的な集客戦略として非常に有効です。
Web広告
Web広告は、短期的に大量の集客を実現できる施策です。主な広告手法には、リスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告などがあります。
- リスティング広告:検索エンジンの検索結果ページに表示される広告で、ユーザーの検索意図に合わせた広告を出稿できる
- ディスプレイ広告:Webサイトやアプリ内に画像や動画で表示される広告で、ビジュアル的なアプローチが可能
- SNS広告:FacebookやInstagramなどのSNS上で表示される広告で、詳細なターゲティングが可能
Web広告は即効性があり、予算に応じて柔軟に調整できるメリットがあります。ただし、継続的なコスト管理と効果測定が必要となります。
CVR改善施策
CVR改善施策は、ECサイトを訪れた顧客の購買率を向上させるために欠かせません。ここでは、主要なCVR改善施策であるサイトのUI/UX改善、商品ページの最適化、A/Bテストについて詳しく解説します。
サイトのUI/UX改善
サイトのUI/UX改善は、顧客が快適にサイトを利用し、スムーズに購入できるようにするための施策です。ECサイトにおいては、以下の改善を行いましょう。
- カテゴリーやメニューの構成を見直し、顧客が目的の商品を見つけやすくする
- サイト内検索の精度を上げ、関連商品の提案機能を追加する
- レスポンシブデザインを採用し、スマートフォンやタブレットなどさまざまなデバイスで快適に閲覧できるようにする
- 画像の最適化やキャッシュの活用により、ページの表示速度を向上させる
- 購入手続きのステップを減らし、入力項目を必要最小限に抑える
これらの改善により、顧客の離脱率を下げ、購買率を向上させることが可能となります。
商品ページの最適化
ECサイトの商品ページは顧客の購買意思決定に直接影響を与えます。以下の実装・改善を検討しましょう。
- 複数の角度から撮影した鮮明な画像を用意し、ズーム機能を追加する
- 特徴や仕様、使用方法などを分かりやすく記載する
- 実際の購入者の声を掲載し、信頼性を高める
- セット購入や付属品の提案により、客単価の向上を図る
- 「残りわずか」などの表示で購買意欲を刺激する
- 割引率や送料の有無を明確に示す
これらの最適化により、顧客の商品に対する理解を深め、購買決定を促すことができます。
A/Bテスト
A/Bテストは、2つの異なるバージョンのページを用意し、どちらがより高いコンバージョン率を示すかを比較検証する手法です。コンバージョンが減少したときやページの離脱率が高くなったときなどに実施することで、原因を特定することができます。
例えば以下のような項目をテストすることで、購入率が大幅に改善するかもしれません。
- ファーストビューのデザイン
- 商品一覧ページの表示方法
- 商品詳細ページの画像サイズや配置
- 関連商品の表示位置や数
- CTAボタンの色やサイズ、文言
- 商品画像の枚数や表示方法
- 商品説明文の長さや構成
- フォーム入力項目
- 決済方法の表示順序
リピーター獲得施策
リピーター獲得施策は、一度購入した顧客に再び利用してもらうための取り組みです。ここでは、主要なリピーター獲得施策であるメールマーケティング、ポイント制度・会員特典、リマーケティング広告について詳しく解説します。
メールマーケティング
メールマーケティングは、顧客との接点を増やし、リピート購入率を向上させる施策です。ECサイトにおいては、費用対効果が高いマーケティング手法として評価されています。
セール情報・キャンペーン告知やカート内商品のリマインドメールなどの基本的なメール配信に加え、以下の施策も検討しましょう。
- 購入履歴に基づくレコメンドメール
- 閲覧履歴を活用した商品提案
- 誕生日や記念日に合わせた特別オファー
- セグメント別にカスタマイズしたメール配信
- 季節やイベントに合わせた商品提案
適切に実施されたメールマーケティングは、顧客との関係性を強化し、リピート購入を促進します。
ポイント制度・会員特典
ポイント制度や会員特典は、顧客のロイヤルティを高め、継続的な利用を促す施策です。競合他社との差別化要因となるだけでなく、顧客データの収集・分析が可能となることから、積極的に活用しましょう。
具体的には以下のような取り組みが考えられます。
- 購入額の一定割合をポイントとして還元する
- ポイントの有効期限を設定し、再購入を促す
- 会員だけが参加できる特別セールを実施する
- 新商品の先行予約や先行販売を会員限定で行う
- 購入金額や頻度に応じてランクを設け、上位ランクほど特典を充実させる
- 会員の誕生日月にクーポンや特別ポイントを付与する
これらの施策により、顧客に特別感を感じてもらい、継続的な利用を促すことができるでしょう。
リマーケティング広告
リマーケティング広告は、過去にサイトを訪れたユーザーに対して、再度広告を表示する手法です。購買意欲の高いユーザーへの再アプローチが可能で、一度離れてしまった見込み客の購買意欲を再燃させることができます。
リマーケティング広告では、以下を意識しましょう。
- 閲覧ページや滞在時間などに基づいてユーザーをセグメント分けし、適切な広告を配信する
- 静止画だけでなく、動画や商品カルーセルなど、さまざまな広告フォーマットを活用する
- 同じユーザーに過度に広告を表示しないよう、適切な頻度を設定する
- PCやスマートフォン、タブレットなど、複数のデバイスにまたがって広告を配信する
- カート落ちしたユーザーに対して、再度カートページへ誘導する広告を配信する
リマーケティング広告では、これらのポイントを組み合わせながら、継続的な効果測定と改善を行うことが重要です。
データ分析と改善
ECマーケティングにおいて、データ分析と継続的な改善は非常に重要です。適切なデータ分析により、施策の効果を正確に把握し、より効果的なマーケティング戦略を立案することができます。
ここでは、データ分析と改善の主要な手法であるKPI設定と分析、およびカスタマージャーニー分析について詳しく解説します。
KPI設定と分析
KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)は、ビジネスの目標達成度を測定するための指標です。ECサイトにおいて適切なKPIを設定し、定期的に分析することで、サイトのパフォーマンスを正確に把握し、改善につなげることができます。
ECサイトにおける主要なKPIとその分析方法は以下のとおりです。
- 売上高:総売上高、商品カテゴリー別売上高、顧客セグメント別売上高などを分析し、全体的な業績と特定分野の強みや弱みを把握する
- コンバージョン率:サイト全体のコンバージョン率、ランディングページ別コンバージョン率、デバイス別コンバージョン率などを分析し、改善が必要な箇所を特定する
- 平均注文単価:全体の平均注文単価、リピーター/新規顧客別の平均注文単価などを分析し、クロスセルやアップセルの機会を見出す
- 顧客獲得コスト:広告費用や販促費用を新規顧客数で割って算出し、効率的な顧客獲得方法を検討する
- リピート率:一定期間内に再購入した顧客の割合を分析し、顧客維持施策の効果を測定する
- 離脱率:サイト全体の離脱率、特定ページの離脱率を分析し、ユーザー体験の改善ポイントを特定する
これらのKPIを定期的に測定・分析し、目標値との乖離を確認することで、効果的な改善策を立案することができます。
カスタマージャーニー分析
カスタマージャーニー分析は、顧客がECサイトを認知してから購入に至るまでの一連のプロセスを分析する手法です。この分析により、顧客の行動パターンや意思決定のポイントを把握し、より効果的なマーケティング施策を実施することができます。
カスタマージャーニー分析の主な手順は以下のとおりです。
- 顧客の行動を時系列で整理し、各段階での顧客の行動、感情、接点を可視化する
- 顧客がブランドや商品と接触する機会(広告、SNS、サイト訪問など)を洗い出す
- Google AnalyticsなどのツールやCRMシステムを活用し、顧客の行動データを収集する
- 収集したデータを分析し、各段階での顧客の行動パターンや離脱ポイントを特定する
- 分析結果に基づき、各段階での顧客体験を向上させるための施策を検討する
- 立案した施策を実施し、その効果を測定・分析する
カスタマージャーニー分析を通じて、例えば「商品ページでの滞在時間が長い顧客ほど購入確率が高い」といった仮説を立てることができます。このような知見をもとに商品ページの情報を充実させるなどの改善策を実施することで、コンバージョン率の向上につながるでしょう。
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ECマーケティングは、集客施策、CVR改善施策、リピーター獲得施策、データ分析・改善など、さまざまな要素を組み合わせて実施することが大切です。これらの施策を効果的に展開することで、ECサイトの売上向上と顧客満足度の向上を実現することができます。
ただし、各施策の運用には専門的な知識やツールが必要となり、担当者の負担も大きくなりがち。そこで、ECサイト運営の効率化を図るために、EC特化型のオールインワンMAツールの検討をおすすめします。
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